WordPressを用いた業務システム開発のメリットデメリットとか

おはようございます。
グローディアのシステム開発担当、高橋です。

タコライスにはまっています。
あれはよいものですね。

ところで、Wordpressを業務システムに転用した案件を数件見たことがありますが、

・Wordpressを業務システムに用いることでのメリットデメリット
・どのようなシステムであれば組み込みを検討すべきか
・Wordpressで業務システムを開発する際の注意点

について検討してみたので、記事として残しておこうと思います。

WordPressってなに?

https://ja.wordpress.org/

CMS(Content Management System)のひとつで、最大手と言ってもよいかと思います。

自治体様はMovableTypeの利用が多いとか、
小規模であれば直観的に操作できるConcrete5を使う人もいるとか、
とにかくたくさん種類があります。

※クラウド型も含めるときっと膨大な数になります。 WIXもCMSの一種です。

どれも共通して「HP制作ツール」として活用されていますが、
その中で一番ユーザ数が多いと言われているのが「Wordpress」です。

なぜ、Wordpressが業務システムに利用されているのか

あくまでもコンテンツの管理システムであり、
HPの制作に用いられるのが本来の使い方であるはずのWordpressですが、
なぜ業務システムとして用いられるケースがあるのか。

理由1. 開発コストを抑えられるから

一言で言うとこれに尽きます。
Wordpressでは、標準で以下の機能があります。

・ログイン機能
・ユーザ管理機能
・ユーザ新規登録機能
・管理画面表示機能
・パスワード再発行機能
・メール通知機能

どれも業務システムには欠かせない機能であり、
ゼロから作る場合、これらを最初に用意するだけで20万~の金額がかかることが多いです。

理由2. プラグインが豊富なのでもっと開発コストを抑えられるから

ほぼ同じ理由です。
が、Wordpressはユーザ数が多いこともあり、ストアにプラグインが充実しています。

例えば

・在庫管理機能
・予約管理機能
・会員管理機能
・会員のマッチング機能
・書類の承認機能
・ショッピングカート機能
・帳票出力機能
・統計、解析機能
(有料プラグインも含む)

などなど。
どれもゼロから開発した場合には数百万のコストが発生しうるものばかりです。

これらをプラグインの購入費用と、導入コスト、カスタマイズコストだけで使用できるのであれば、
業務システムにWordpressを利用する理由としては納得です。

WordPressを業務システムに用いることでのメリットデメリット

メリット

以下が、Wordpressを用いて業務システムを構築する際のメリットと考えます。

メリット1. 初期構築コストを抑えられる。

最大のメリットです。
規模によっては1000万以上の開発コストを抑えられる可能性も十分にあります。

メリット2. 管理画面の仕様変更に対しての低コストでの対応が可能(な場合が多い)

「管理画面に項目をひとつ追加してほしい」といった仕様変更はシステム開発の常です。
項目がひとつ増えるだけと聞くと簡単に感じますが、表示レイアウトや、検索機能の追加、登録、編集機能の影響まで考えると改修コストは決して低くはありません。
しかも、開発が終盤に差し掛かった段階で追加になるケースも多く、リリース直前であればあるほど改修と再テストのコストは重くなります。

しかし、Wordpressであれば管理画面に項目を追加するのは比較的容易です。
(そのためのプラグインを選定する必要がありますが)

場合によっては修正とテストも含めて1時間で十分なケースもあります。

メリット3. 利用ユーザが多い

「利用者が多い」というだけでメリットはあります。

参考資料や参考記事が世の中にゴロゴロと転がっていますので、
カスタマイズの際に技術的に困ることはあまりないと言えます。
(仕様で悩むことはあるかもしれませんが)

また、開発を行える技術者を探すのも比較的容易になると考えます。

デメリット

以下が、Wordpressを用いて業務システムを構築する際のデメリットです。

デメリット1. 動作が遅くなりがち

WordPressのテーブル構成ですが、RDBなのにRDBとして使っておらず、
いわゆるKVS(Key Value Store)のような使い方をしています。

つまり、柔軟性を非常に重視しており、その分検索速度を犠牲にする設計であるといえます。

もちろん、インデックスの貼り方や、インデックステーブルを用意するなどの工夫次第で改善は可能ですが、
無策で取り掛かると実運用で痛い目を見る可能性が非常に大きいです。

目安ですが、取り扱うデータ(商品や会員)が10,000件を超えるようであれば、あらかじめしっかりと考えて対策を打つべきかもしれません。

いずれにせよ、負荷検証に重きを置いたテスト計画は必須です。

デメリット2. ユーザの要望に応えられない場合がある

WordPressに機能を付け足し付け足しで開発を行う都合上、Wordpressやプラグインの枠を大きく超えた改修には大きなコストがかかる場合があります。
もちろん改修内容にもよりますが、「Wordpressを用いたことで逆にコストがかかるようになってしまった」というケースも珍しくはないでしょう。

業務システムにおいて、ユーザの要望は管理画面に対して多く発生すると思いますが、
管理画面こそプラグイン任せにしようと考える開発者が多く(多いのでは?という推測ですけども)
そこで依頼主とのイメージの乖離が発生するケースがありそうです。

WordPressを導入する際には、特に管理画面の要件をヒアリングしたうえでしっかりと検討する必要があります。

どのようなシステムであれば組み込みを検討すべきか

サービス開始直後で、まだコストをかけられない場合

サービスの初期段階ではまだ予算を多く確保できることは少ないかと思います。

WordPressを導入することで一部不便を感じてしまう可能性を承知で、いつか作り直す前提でとりあえず運用を始めてみたい!

といった場合、ひとまずWordpressでシステムを構築し、使いながら本来あるべき運用をじっくり考えていくのは決して悪くないと考えます。

取り扱うデータ量が少ない場合


Wordpressを扱う際の最大のネックが速度だと考えてます。

そのため、釣り扱うデータ量がそれほど多くないのであれば、
無策でWordpress導入を決定したとしてもそれほど痛手を負うことはなさそうです。

WordPressを用いた業務システムの構築時の注意事項

メリットデメリット、向いている案件などを整理してみました。
あくまでも私個人の考えではありますが、皆さんの参考になればと思います。

最後に、Wordpressを用いたシステム開発の注意事項です。

・取り扱うデータ量に注意。負荷検証は必須。
・管理画面の要件はお客様と早期にすり合わせすべき。
・プラグインには月額や年間コストが発生するものもあるので選定に注意。

以上です。

最後に

業務システムにおけるWordpressの導入はまずコスト面で大きなメリットがありますが、
カスタマイズしづらい部分があったり、速度に懸念があったりと、様々な留意すべき点があります。

開発の初期段階でメリットデメリットを考慮し、適切な設計を行うことを心掛けなければなりません。

WordPressを用いた業務システム開発、もしくは用いなくても結構です。
お困りごとなどありましたら気軽にご相談ください。


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この記事を書いた人

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高橋 洋樹

WEBアプリケーション、スマートフォンアプリケーションエンジニア。
フロントエンドに関心大。
趣味でゲーム作ったり、つくらなかったり。